真っ黒な猫。
あんなに頼りなく
小さかった猫が
お父さんの膝の上を
陣取っている。

『おいで、ジジ。』

言ってリビングに向かうと
後ろからジジの
鈴の音が近づいてきた。

「恋ちゃん、おはよう」

ふわりと綺麗に
笑う優美さん。
すっぴんなのに
肌は艶があり
どこかの彫刻を思わせるくらい
美人な人だ。
そして心も綺麗だった。


『おはよう、優美さん』