茜子は『彼』の頭から少し上の芝生に腰を下ろした。


パンツでも見えないかと視線や目、頭さえ動かしてみたがなかなかガードは堅い。


「私達はもっと。あの人の心を大事にすべきだったと言ってるんです」


「南先輩の心かい?なら安心したまえよ。僕ほど大事にしてる奴はいないさ」


「果たして、そうでしょうか?」


『彼』は視線を茜子の顔にズラした。


茜子は口元を、抱き寄せる膝に押し当て。


何故か悲しそうな目をしていた。


「私達も、あの人の創った缶蹴同好会を守るべきだったんじゃ」


「……僕の二つ名を、知っているかい?」


二つ名?


『彼女』は不意の問いに上手く答えられなかった。


いや、知らない訳がない。『彼』は自分達をまとめるリーダーなのだから。


「【終者】。終わらせる者と書いて【終者】。この二つ名を付けてくれたのは他でもない『南先輩』だった」