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「どこで、間違った…?」


『彼』、【終者】と呼ばれた瀞文高校最強の男はレンガ造りの歩道の上。


恥も外聞もなく大の字に仰臥(ぎょうが)し独り呟いた。


だが、その言葉に本質はなく。中身もない。


がらんどうな言葉だった。


言葉の前提が崩壊しているのだ。


『彼』は何も間違ったとは思っていない。


間違っているとすればそれは『神奈河 南』がいなくなった事だろう。


いや『神奈河 南』が生まれなければこんなに苦しむ事もないのでは?


そんな事を考えるだけ無駄で無意味なのに、つい考えてしまう。


『彼』は、神を呪った。


いるはずもない神に、人々が作り崇拝を形骸化させ、今も世界中で救いと正義と混乱をもたらす神々を。