「ぼ、僕は別に諦めてなんか」


「いえ、君は諦めた。…立てない。ただそれだけで諦めた」


ただそれだけって。


それは既に戦闘不能だと評するには充分だと思うのだが?


「たかが足が動かないだけでしょ?」


「それがたかがの部類に入るのかよ」


「えぇ。…少なくとも君のお姉さんは足が動かなくなっても勝利をもぎ取った人よ?」


「…だから、何だって言うんだよ!?」


僕はとっさに茜子の胸ぐらを掴み返す。


彼女のブラウスがはだける事なんて気にもしないで。


「それは僕じゃない!!バカ姉だ!!バカ姉が出来るから、僕も出来るとでも言いたいのかよっ!?」


口角泡を飛ばし、茜子に引き上げられないと立てさえしないことも忘れて。