は?


何?誰?


顔を上げ、声の主を見る。


……んな、バカな。


僕の顔を覗き込むように屈むその人は、……バ、バカ姉っ!?


「誰がバカ姉よ…。幼なじみの顔さえわからないって言うの?」


え?


ブレる焦点が重なりその人の顔を鮮明にする。


「茜子、かよ」


「何よ。その残念そうな顔は」


いや、そういうわけじゃないのだけど。


まぁ残念ではないと言えば嘘だけど。


「で、夏樹。今、君諦めたでしょ?」


「は?」


何を突然。


と、困惑するのも束の間。僕は茜子に胸ぐらを掴まれて無理やり引き立たされた。


「な、何すんだよっ!?」


「何すんだ。じゃないわよ、何を勝手に諦めてんのよ?」


勝手に諦めてんの?


何でそんな事をお前に言われなきゃいけないんだ。