だが僕の足はそんな叱咤(しった)に応えることはない。


ダメ…なのか。


僕はここでリタイアなのかよっ!?


ちく、しょう…。


何が。神奈河だよ。何が伝説の弟だよ。


僕は何もしていない。何も出来ていない。


何。も……。


「……ぐわぁぁっ!?」


遠く、まだ揺れる景色の中で【勇者】が真乃枇杷に吹き飛ばされる。


きっと、まもなく桃東先輩も敗れて缶蹴同好会は負ける。


それを僕はこうして地面に横たわって指をくわえて眺める訳だ。







…ク、ソ。












「バカ。夏樹」