ズボッ、と僕の目の前から腕が生えた。
腕。
……まるで太陽を求めるかのよう、空を掴んだ。
「う、うわぁぁぁぁぁっ!?」
怖っ!?
何コレ!!キモい!!
僕の真下の真乃枇杷も僕に押し倒された以上にギョッとしてる。
真昼とはいえ、流石に真正面でゾンビ的展開はマジで無理。
けれどそんな僕の事などお構いなしにゾンビは地面から這い出そうと両腕、両足そして頭が出てくる。
【勇者】の頭が。
「俺の時代だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
意味不明な叫びと、ボタボタと土を落としながら【勇者】は吼えた。
どいつもこいつも授業中だってのを忘れすぎな気がする。
「俺が、お前らを勝利に導いてやるぜぇ!!」