「夏樹君、一瞬でいい。一瞬。真乃枇杷を止めてくれれば」


「い、一瞬…」


一瞬ったって。この状況…で。防御で、手が回らないのに。


「くそっ!?」


「ぬっ###」


防御を捨て、僕は捨て身で真乃枇杷に両手を伸ばす。


けどその瞬間に乱打は止み僅かに距離をとーー。


ーーる真乃枇杷に桃東先輩が追撃の拳を打ち込む。


しかしそれは真乃枇杷の手のひらの中。


「良いパンチだよ#けどあまりに真っ直ぐ過ぎーー」


拳を放った桃東先輩の影。つまり彼の死角。


「ーー掛かったなぁ!!」


死角から飛び出した僕に、真乃枇杷は驚きを隠さない。


「ぐぅっ!?」


「やっとまともに声を出しましたね!?」


流石の彼も僕を弾く事は出来ずに、僕と一緒に地面を転がる。