「さ、フランシア先輩。朝日部が動かない内に早く缶を蹴ってこの戦いを終わらせまーー」


僕はフランシア先輩の肩に手を伸ばそうとした。


その、瞬間の事だった。


フランシア先輩の表情が変わり。それは敵愾心(てきがいしん)を剥き出しにした修羅のよう。


なんだ?


そう思ったのも一瞬。


背筋に走る悪寒。


それにまるで金縛りにあったみたいに体が動かない。


ピクリとも。


「ーーごめんね#空気読めなくて♪」


不可思議な口調が僕の背後からした。


含有する喜悦、愉快、快楽、微笑はこの空間では明らかに場違いな感情だ。


まるで、超越者の余裕のように感じる。


「伏せろ、神奈河」


声より先にフランシア先輩は跳び、僕の頭上を越えていく。