「否定はしないよ」


だが、それがどうした事か。


「私情を挟んだとしても缶蹴同好会の活動で実害が発生してるのは確かだ」


「その実害とて微々たるものです。他の業務よりも優先して行う事でもないはずでは?」


「……例え君がどんな反対意見を挙げようともこれは生徒会の総意だ」


茜子の眼に敵意が灯る。


睨みつけるそれに『彼』は何も答えない。


ただ寂しい記憶だけが蘇るのみ。


あの日。『彼』が缶蹴同好会を去って。潰す事をかつての仲間に伝えた日。


あの日も向けられた眼はこんな感じだった。


当然だろうけど。


「缶蹴同好会を潰しても残るのは虚しさだけです」


「僕はそうは思わない。これ以上、先輩の残した部を。汚されたくないんだ」