そう問われると少し悩むな。


極端な話、過程や結果などどうでもいい。


ただ『彼』はあの頃を守りたいだけなのだ。


「会長。私は、缶蹴同好会との対戦は反対です」


『彼』は無意識に彼女に目を向けた。


強い眼をしていた。


そこに映るのは憤慨でも悲嘆でも軽蔑でもない。


ただ、憐憫。


「理由を聞くとしよう」


「簡単な事です。私達生徒会が缶蹴同好会に勝利するのは火を見るより明らかです。無駄な労力、時間を割いてまで缶蹴同好会を倒す必要はないと思います。それにイタズラに生徒の部活へのやる気を削ぐ行為も生徒会として如何なものかと」


なるほど。


『彼』は一つ呟いて再度背もたれに体を預けた。


ギィと椅子が鳴く。