「会長」
「うん?」
「一つお聞きしてもよろしいですか?」
彼女のキーボードの上を踊る手が止まった。
『彼』の答えを聞くより先に彼女は続ける。
「会長はどうしてそんなに缶蹴同好会を潰そうとするんですか?」
『彼』は彼女のその質問の意味がよくわからなかった。
潰そうとする?
自分が?
そんな事は一度として考えた事はないつもりなのだが。
「そういう風に思えるかい?」
「……はい」
「それは、勘違いだよ」
「勘違い?」と茜子の表情が怪訝に覆われる。
「別に僕は潰そうとだなんて思った事はないよ。ただ、僕のやろうとしてる事の結末がそれであるだけさ」
「会長は過程が重要であって結論はどうでもいい。そういう事ですか?」