「私を、勧誘しない方がいいですよ」


「ぬん?」


遠くでワァァ。と言う声がした。


見ればさっきまで南と戯れていた子供達が走り回り、缶蹴りに興じている。


さっき南、それに『彼女』が見せたような乱暴なものじゃない。


児戯としての、缶蹴り。


日は傾いて、茜の帳が落ちてきて。


更にその向こうにはビロードのような闇が今日の終わりを告げようと迫ってきていた。


「私は、本気で缶蹴りをやらないかも知れないです」


本気でやらない奴なんて、不必要なはず。


『彼女』だって本気でやらない、ついて来てくれない仲間なんて…。


でも南の返答は、『彼女』の予想を斜めに跳ぶものだった。


「だから?」


だから?理由が必要なの?