こんな基本的なミスで敗北するような奴がいるチームで、アイツ等に勝てるのか?


『彼女』はわかっていた。


その答えなど決まっている。


勝てる訳など無いことを。


奴等は、的確に。


時に狡猾に。


時に狂暴に。


勝利と言う結果を求めてこれでもかと言うほどに貪欲に攻めてくる。


『彼女』は恥じた。チンカスにも劣るミスを犯す『鬼』を。


そして、それを忘れかけた自分にも。


ーー今のままじゃ、勝てない。


そんな、後ろ向きな思考を携えたまま。『彼女』は駆け抜ける勢いそのままに、ハードル選手のようにベンチを飛び越える。


ーーん?


ベンチに、さっきのイレギュラーらしき奴が寝ていた。もしかしたら飛び越えた瞬間パンツ見られたかな?


ーーま、別に減るもんでもないしいいか。