私は来月結婚する。
今、目の前にいる高須誠一と。
上司である高須さんは会社の経営者の甥っ子で、すごく優秀な人。
会社に入ったのも出世したのも彼の実力なら当然得られるものだ。
彼は女性社員みんなの憧れの的で、私もいつしか尊敬以上の眼差しで見つめていた。
彼が私を見初めてくれたのは実は最近知ったのだけど、
彼から初めて食事に誘われた時は天にも昇る気持ちだった。
それから、ごく自然な成り行きで彼とお付き合いをするようになった。
はじめはそれだけで満ち足りていた。
女なら誰もが憧れる愛を手にしたと思えた。
彼を今もすごく愛してる。
ただ、
人間は満ち足りると時として、ひどく欲深い生き物に成り果てる。
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