「森田くん」

放課後、予定も無くまっすぐ家に帰ろうとしていた僕を、下駄箱で彼女が呼び止めた。


見覚えのあるような、ないような顔。
よくいる普通の女子高生。
結構かわいいなとは思った。


「………あの!好きです!」


彼女は顔を赤らめて僕を見ている。


は?


僕は嬉しいとかの前に、恥ずかしくなった。
下駄箱には下校する他の生徒が居て、こっちを二度見した。




それにしても…………


かわいく照れ笑いする彼女と対照に、僕のテンションはどんどん急下降した。




タチの悪い罰ゲームだ。




「あー………


ごめん、だれ?」





彼女の表情が、止まった。


俺はさすがに言いすぎたかも、ときまりが悪くなって目を反らした。


でも同情はしない。


いくら地味な奴に対してだってやっていいことと悪いことがあるだろ…………………………




「…………………」





人を馬鹿にするような告白と自分の浮き上がった気持ちにイラついていたら

彼女の走り去っていく音が聞こえた。


僕はその日、不良にでもチクられてたらどうしようとか
そんなことを考えてなかなか寝付けなかった。