ナツキはイチゴが大好きで
毎日なめてる飴もイチゴ味。


「またイチゴ?」

「おー、ミサキもいる?」

「うん」


ナツキからもらえるなら
何でも欲しいに決まってる。


「ほい」


私の手のひらには
紫色の紙に包まれた
グレープ味の飴。


ナツキからもらえるなら
何でも欲しいに決まってる。


けど
できれば同じものが欲しい。


「…イチゴがいい」

「ざーんねんっ!これしかない!
 ……食べる?」


そう言ってナツキは
自分の口を指差してみせる。


「ば、ばかっ、いらないっ!じゃあねっ」


私は顔が赤くなるのがわかったから
すぐにその場から逃げようとした。


「ミサキっ」


急に名前を呼ばれたから
振り返ってみると
何かが飛んでくる。


キャッチして
手のひらを見れば
イチゴ味の飴。


「……うそつき、あるじゃん」


それでも
顔が笑ってるのは
ナツキと同じイチゴ味だから。




私の初恋の味は




甘酸っぱくて




貴方の好きな




イチゴ味。





fin.