「でも、あんま輝には鮎川は近づかない方がいい…。」


「え…どうしてですか?」


私がそう聞くと、先輩は私の前に立ち止まった。


「先輩…?」


「輝、女の子をたぶらかすクセがあるから。さっきも……」


そう言って、先輩は私の両手を握ってさすりだした。


「…先輩??」


「さっきも、鮎川の両手握ってた…」


さっきと言うのは、保健室で東雲先輩が謝ってきた時の事だろう。

確かに、東雲先輩は私の両手をギュッと握ってきた。


「あ、あはは…あれはその、東雲先輩が謝ってきて……」


「……鮎川はいいの?」