「あっち向いてホイ!」
「じゃんけんぽん!あいこで・・・」
「あっち向いてホイ!」
「あぶなー・・・」
「じゃんけんぽん!あっち向いて・・・」
「・・・・・・まだ決まんないのー?」
「じゃんけんぽん!」
「あっち向いてほい!!」
そして、やっと顔の向きと指の向きが一致した。
「えええぇえぇっ!!」
「やったああぁあぁ!!」
結果、見事に勝利をおさめてガッツポーズをしているのはあたし。
『あっち向いてほい』に負けて、露骨に嫌そうな顔をして棒立ちになっている佳耶。
ブツブツとぼやいていたり溜め息をついたりしていたけど、最終的には渋々了解してくれた。
そしてたまたま隣を通りかかったクラスの男子が、
「お前らさっきから何してんの?」
とからかってくると、佳耶は目を光らせながらニッコリ笑った。
そして、
「アンタ、黙ろうか?」
こう言った。
そんなわけで、だんだん気温が高くなってきた5月下旬。
あたしと佳耶の勉強会が始まった。