あたしの耳にはっきり聞こえるくらいの声で拒否した神崎涼の言葉は、もちろん先生にも聞こえてて。
「何を言ってんだお前はー!!」
見えない雷が落ちた。
不機嫌になった神崎涼は、授業中しばらく先生に注意されていた。
でも、もちろん言うことを聞くはずがない。
教科書見せてもらえだの、教科書使わねえだの。
1番イライラしたのは、佳耶なんじゃないかと思う。
嫌いな奴に教科書見せろ、と言われて嫌々見せたら使わねえとか言われて、そしてまた見せろと言われて・・・。
授業中キレなかったのが奇跡じゃないかと思った。
流菜ちゃんの隣の奴はおとなしく見せてもらっていた。
さらに流菜ちゃんと話までしていて。
腹が立った。
あんた達のせいで遅刻したのに、あたしの友達と仲良くするな!
って感じで。
でもその他にも理由があると思う。
その人、かっこいいんだよね。
だから仲良く話している流菜ちゃんへのヤキモチっていうのもいるかも。
これが佳耶が言ってた外見大好きでしょ、ってこと?
付き合ってるわけでもないのに、話したことすらないのに。
なのにこんなにモヤモヤした気持ちになるんだ。
ちょっと自分が醜いような気がして嫌になる。