朝食はバイキングだった。


食べたいものが次から次へと目に入ってくる。


「佳耶~、やばい。全部おいしそう、ってか全部食べたい・・・」


「南美の胃袋に黙禱」


「やっぱりお腹に入りきらないよね・・・って勝手にあたしの胃袋死んだことにしないでよぉ・・・」




バイキングのくせに1品1品が絶品だった朝食。


たっぷりごちそうになって、大食堂を出ようとしていたとき。


あたしの視界に、まだイスに座って騒いでいる生徒の塊が映った。


・・・なんか、久しぶりだな。


塊の中の1人。


ド派手なジャージ姿で大食堂に来ていた神崎涼を見て、そう思った。


別にこれまでだって、毎日話してたわけじゃないけど。


毎日頻繁に、姿はちゃんと見ていた。


昨日はそういえば朝見たっきり、ご無沙汰だったんだよね。


何を期待してるわけじゃないけど・・・。


・・・それでも。


神崎涼の座っている机の横を通り過ぎる瞬間、心の奥でつぶやいた。




君に、触れたい。