『南美、どこ行きたい?』
ふと佳耶の言葉を思い出す。
『どこ描きたい?』じゃなくて、『どこ行きたい?』。
・・・佳耶は描きたいところなんか聞いてこなかったよね。
それはあたしのことを考えて?
描きたいところより、行きたいところの方が、答えやすいと思ったから?
あたしは、あの佳耶の言葉を上手く取れてないかもしれないけど・・・。
ていうかそういう解釈自体、あたしの自惚れかもしれないけど。
でも、あたし行きたいところ決まったよ。
「・・・全部」
「え?南美、全部って何?」
隣にいた佳耶が不思議そうにあたしを見る。
「いや、写真見てたら全部行きたくなっちゃって。だから描く場所、4人で決めていいよ」
「藤井は貪欲だな。しかも描きたいじゃなくて、行きたいかよ」
弱メンに突っ込みを入れられるけど・・・。
「そうでーすっ」
行きたくなっちゃったんだもん。
「でもあたしも全部行きたくなっちゃった」
そして、佳耶までもが笑顔でそんなことを言って。
「流菜もー」
「まあ当然やろ」
「だよね~」
流菜ちゃん、マナ、優もそれに続いた。
「・・・あー、ったく。何でこうなるんだよっ」
そんなあたし達の言葉に、弱メンは頭を抱える。
「ほな、先生が決めて」
そして、そんなマナの一言で。
「んんー・・・・・・。じゃあ、お前らは平和の礎を描け!」
あたし達は平和の礎を描くことになった。
どんどん楽しみが膨らんでいく。
修学旅行まで、あと1週間。