雑巾がけを無事終えて、教室で帰る用意をしていたら、
「名前なんていうのっ!?」
流菜ちゃんが佳耶に迫っていた。
・・・かなり積極的なんだね。
でも身長が小さいから、小動物がしっぽを振っているようでかわいい。
小さいっていっても150半ばくらいであたしより少し小さいだけなんだけど。
160半ばの佳耶と並ぶと結構な差が見られる。
「じゃあ佳耶ちゃんって呼ぶね!流菜のことは流菜でいいよ!」
流菜ちゃんはそう言って手を振り、廊下で待っていた他クラスの友達の所へ行った。
流菜のことは流菜でいい・・・なんか言葉に違和感感じるなぁ。
「・・・何か、すごいハイテンションな子だね?」
佳耶のつぶやきに、
「うん」
あたしも賛成。
教室を出る時、弱メンとすれ違ったから言ってみた。
「先生ってメガネ取ったほうがいいと思うんですけど」
弱メンはびっくりした顔をした。
佳耶は隣で苦虫を噛み潰したように、顔を歪ませてあたしを見ていた。
その顔は『こんのバカ・・・』と言っているようだった。
「ああ、でもメガネしててもかっこいいだろ?」
その後平然と言い放った弱メンの予想外の言葉に、佳耶は吹き出した。
あたしも笑いを堪えて言った。
「・・・ナルシーなんですか?」
「まあ」
どんだけ~。
あたしと佳耶はしばらくそのネタで笑っていた。