待ち始めてから10分・・・いや、もう少し経ったかな。


決め終えた班の人達が、どんどんダンボールの周りから離れていく。


やっと、あたし達の番が回ってきた。


「やっとだぁー」


「ね~」


流菜ちゃんと優が待ってましたと言うように、ダンボールの中に手を突っ込む。


あたしも中から適当に、数枚の写真を取り出した。


まず初めに見たのは、これでもかと広い砂浜。


写真一面に広がる真っ白な砂浜の向こうに、更に大きく広がっているであろう青い海が写っていた。


どんな撮り方をしたのか知らないが、こんな大きな砂浜は滅多に見ない。


手を動かし、次に見たのは、沖縄の伝統的な家。


玄関前の塀の上に虎みたいなものが乗っていた。


これが、よく聞くシーサーなのかな。


サンサンと降り注ぐ太陽が背景になっているこの写真は、真夏に撮影されたものなのだろうか。


次に見たのは・・・いくつも並んだ、石版・・・?


「・・・佳耶、これ何?」


「ん?・・・ああ、これは、『平和の礎』」


・・・平和のいしじ?


いしじ、って何?


「第二次世界大戦で沖縄ではたくさんの人が死んだじゃん?この石碑は『平和の礎』って言われてて、その戦争で死んだ人達への追悼と、平和への願いが込められてるんだってさ」


あたしの聞きなれない言葉を、スラスラと口から出す佳耶。


・・・これこそ、さすが。


奥が深いし・・・何でそんなこと知ってるのか不思議に思う。


「佳耶、いしじって何?どういう字書くの?」


「基礎の『礎』。この戦争で失ったものが、平和の基礎になりますように。・・・みたいな意味じゃない?推測だけどね」