そんなルンルンなあたしの横で、珍しく嬉しそうな顔をしてる奴。


「・・・神崎涼、修学旅行楽しみ?」


あたしが聞くと、ソイツは目を輝かせて答えた。


「は?当たり前じゃん!修学旅行楽しみにしてねぇ奴がどこにいんだよっ」


「え、そ・・・そう?」


あたしは、かなり動揺した。


「すっげぇ楽しみ!・・・お前はバカかっ」


「う、うるさいなぁっ」


だって・・・。


こんなに目を輝かせて、生き生きと話す神崎涼は初めて見た。


いつもはあたしより1枚上手の存在なのに。


今はあたし達と同じく子どものよう、に普通に修学旅行を楽しみにしてる。


なんて言うか、ギャップ?


・・・かわいい・・・。


いつものように何かを含んだような笑みじゃなくて、純粋な笑顔。


そんな初めて見る神崎涼の顔に、胸がキュンとなるのを感じた。


子どもみたいで、本当にかわいい。


「おいっ!お前ら静かにしろっ!静かにしねぇと話さねぇぞー!」


出た、弱メンの得意技。


脅し。


いつも、1回の注意じゃ言うことを聞かないクラスのみんなも今回ばかりは見事なまでに、弱メンの言うことを聞いていた。


毎回こうだったら弱メンも疲れないだろうな。


あたしもうるさくしてるから、こんなこと言えないけど。