平然なふりをして歩いていたけど、内心はもうバクバクだった。


盗み聞きしてたこと、バレてないかな、とか。


さっきの逃げ方、不自然じゃなかったかな、とか。


とにかく、あたしがずっとあの場にいたのが気付かれてないか、不安で仕方なかった。


バレてたら?


シラをきる?


・・・どうしようかな・・・。


どんどん大きくなる不安に、焦りを感じる。


早足で教室に戻り、待たせていた佳耶と流菜ちゃんの元に一目散に歩いていく。


「・・・佳耶、流菜ちゃん、どうしよ・・・」


「え、南美、また何かあったわけ?」


大きく溜め息をついて、あたしは話し始めた。


昼に女の子達がトイレで話してたこと。


さっき、準備室で神崎涼達が話をしていたこと。


それが、トイレで女の子達が話してたことと関係してたということ。


そして、それについてのあたしの勝手な解釈。


更にそれを盗み聞きしていたあたしの存在が、バレたかもしれないということ。


隅々まで、全部を話した。


聞き終わった佳耶は、なぜか堂々としていて。


それがなぜなのかと聞くと、


「神崎に気になる人ができるわけないじゃん」


と答えていた。


だけど、そんな人に気になる人ができたなんて噂がたってるから心配なんだよ・・・。


「大体そのトイレ女が言ってたことも根拠ないし。誰かも分かんないんじゃぁ、仕方ないじゃん」