今の君の高ぶった気持ちと、あたしの落ち着いてる気持ち。
今のあたし達は、何もかもが正反対。
・・・・・・もどかしい。
こんな時、いつもいつも、どうしようもないもどかしさに見舞われる。
そして、突発的な衝動に駆られる。
今すぐにでも、神崎涼の元へ走っていきたい。
広いようで小さい、この校庭を突っ走って飛びつきたい。
抱きしめて欲しい。
それでもって伝えたい。
この気持ち、全て。
もらって欲しい。
この気持ち、全て。
複雑な心境の中、あたしは切なく神崎涼を見続ける。
今、あたしに気付いてくれたら、どれだけ嬉しいだろう。
でも気付かれたら恥ずかしい。
今、この学校の生徒の中に、あたしのように思ってる女の子はどのくらいいるんだろう。
たくさんいる?
あたしだけ?
あたしだけだったら、そのたった1人のあたしに気付いて欲しい。
神崎涼に、気付いて欲しい。
「・・・・・・っ・・・」
視界が滲む。
あたしは流菜ちゃんに気付かれないように、顔を伏せた。
この大盛況の中、あたしだけが場違いな気がして、居た堪れなくなった。