腰パンにしていて、ダボダボの体育着のズボン。
何でそんな格好をしていて、そんなに速く走れるのか理解不能。
でもかっこいいから全然オッケー。
そう許してしまうあたしも、理解不能。
運動してるのか分からないのに、筋肉質なその腕や脚。
ムキムキって感じでもなくて、ほどよく筋肉が付いている。
見るだけでドキドキしちゃうあたしは、どうにかしてる?
他のランナーには目もくれずに、あたしは神崎涼に見惚れていたんだ。
風を切って走るその姿に。
規則的に動くその手足に。
風に揺れるそのきれいな髪に。
今日だけじゃない。
いつものさりげない仕草にも。
時々見せる笑顔にも。
誰かと話している姿にも。
不機嫌な表情にも。
あたしはドキドキしっぱなし。
たった今、3位でゴールした君。
満足してないようなその顔にも、息をのんで見惚れる。
ねぇ、君の言ってた通りだね。
足、凄く凄く速いんだね。
そんな姿を見て、あたしの中の『好き』が更に増えたの、分かってる?
あたしが思ってる以上に、あたしは神崎涼に溺れてる。
校庭のど真ん中で、大声出して応援してる君。
そんな君を校庭の端で、静かに見てるあたし。