7組の第2走者にバトンがまわる。
僅差だから何位なのかよく分からないけど、真ん中あたりかな。
第2走者が走り出したところで、神崎涼がコースに出てきた。
ここからでもよく見えるその表情。
いつになく真面目な顔をしている神崎涼に、あたしの心臓が音を立てる。
怒っているのでもなく、無表情なわけでもなく。
初めて見る、真剣な顔。
怒っててもかっこいい。
笑っててもかっこいい。
真顔でも、かっこいい。
きっと、あたしの見てないかっこいい顔がまだまだあるんだろうな。
何しててもかっこいい。
「・・・・・・ずるいよ・・・」
絞りだしたような、あたしの声。
その声は、隣にいる流菜ちゃんにも聞こえることなく、あたしの中でこだまし続けた。
7組を含めた先陣が、競り合いながら走ってくる。
帰ってきた第2走者が次々と、第3走者にバトンを渡す。
ゴチャゴチャと人が混ざっているテイクオーバーゾーンで、あたしはこれだけははっきりと見た。
第2走者が、神崎涼にバトンを渡す瞬間。
バトンを受け取った神崎涼が走りだす。
僅差だった他クラスのランナーをどんどん抜いていく。
疾風のように走る神崎涼を、息をするのも忘れて、ジッと見ていた。
太陽の光に照らされて、キラキラと輝く金色の髪。