「こんなメガネの前置きなんかいらねぇんだよ」
だけど・・・。
常識を外したその行動に。
「いるのはやる気だけだ」
堂々たる態度に。
「いいか?勝てばいいんだよ、勝てば」
言葉にまで常識がない、奴の登場に。
「何が何でも勝て、動け、走れ。いいか?あ?わかったなぁ!?」
乱暴な言葉とは裏腹に、ただ勝利に燃えるその気持ちに。
クラスの目が光る。
実行委員が話してた時とは段違いに、色が灯る。
「「「おおおおおぉぉおおぉぉおぉおぉっっ!!!」」」
神崎涼に、クラスが共鳴する。
「っしゃあぁ!勝ちに行くぞぉっ、全員外出ろやあぁ!!」
そして神崎涼はそう言うと、尾崎君らを引き連れて教室から出ていった。
今の神崎涼の言葉を合図に、クラスのみんながチラホラと動き出す。
その後、みんなが教室から流れ出るように外に向って走りだした。
無論、あたしと佳耶と流菜ちゃんも。
中には神崎涼に怯えてる人や、あの哀れな実行委員のように文句を言ってる人も少しいた。
だが神崎涼の登場で、クラスにまとまりができたのは確か。
神崎涼のお陰で、やる気を出した人がいるのも確か。
体育着の替わりに私服の派手なTシャツを着てくるような奴。
ジャージのズボンだって、だらしなさ過ぎるくらいだらしなく着ている奴。
あれはもしかしたら、腰パンを通り越してお尻ではいているのかもしれない。
そんな奴がクラスをまとめるなんて、聞いたことがない。