「・・・・・・好き・・・」
声が震えた。
言った直後、沈黙ができる。
小さい声だったけど周りが静かだから、確実に聞こえたはず。
・・・この間は何?
早くふってよ。
もう期待させるのは、やめて。
膝が崩れそうになるのを、必死に抑える。
今すぐここから逃げ出したい。
何か言ってよ・・・。
・・・でも次の神崎涼の言葉は、予想もしてないものだった。
「お前さ・・・俺のどこが好きなの?」
「は?」
思わずマヌケな声が出る。
「いやいや、は?じゃなくて。俺のどこが好きか聞いてんだよ」
足の力が完全に抜けて、ズルズルと壁に沿って座り込む。
「どこって・・・・・・分かんない・・・」
「は?」
「分かんないけど・・・好きになっちゃった・・・」
一点を見つめ、ボーッとしながら答える。
「ふうん、そう。・・・お前、俺のこと好きなんだな?」
神崎涼があたしの目の前にしゃがんで、あたしの顔を覗きながら言う。
「・・・・・・うん」
うつむきながら、あたしは答えた。
自分でも分かるくらい、顔が熱い。
きっと今のあたしの顔は真っ赤なんじゃないか、と思う。
神崎涼はそんなあたしの気も知らないで、あたしの顎をクイッと上に持ち上げた。