さっきの騒ぎが嘘かのように感じる、図書室のこの静けさ。
「・・・はあ・・・。結構寄り道しちゃったけど・・・あと30分くらい集中してやるよ!」
佳耶の言葉を合図に、あたし達はまた勉強モードへと切り替わった。
でもさっきの佳耶と神崎涼のやり取りが、どうしても頭から離れない。
一旦切れた集中力を元に戻すのは、あたしにとって相当難しい。
結局、集中力を取り戻せないまま流菜ちゃんの説明を聞いていた。
必死に覚えようとしたけど、一体どれだけの量が頭に入ったのか分からない。
今日も相変わらずのどんより空の下、3人で歩いているときに流菜ちゃんが口を開いた。
「佳耶ちゃんってさ?神崎君と仲良くなったの?」
あたしも聞こうと思ってて、タイミングを見計らってたけど・・・。
やっぱり流菜ちゃんも気になってたんだね。
聞かれた佳耶は、
「ああ・・・」
とこぼしてから、
「やっぱ席近いと嫌でも話すようになるじゃん?」
と言って苦笑いをした。
・・・佳耶・・・?
なにかが違う。
佳耶のなにかが違う。
根拠はなにもないけど、あたしの直感がそう告げてる。
なにが違う?
・・・分からないけど、でも・・・。
行き場のない考えがあたしの中でグルグル回っている。
正体不明の違和感を抱きながら、しばらく佳耶の後ろ姿を見ていた。