ふと空を見上げると、いくつかの光の線が見えた。


「・・・・・・雨」


そう判断するのに時間はかからなかった。


あたしと佳耶は急いで駐輪場から自転車を引っ張ってきた。


「あ、2人とも先に帰っていいよ?あたし歩きだし、折りたたみ傘あるからさ!」


そう言うと流菜ちゃんは鞄の中をゴソゴソと探り始めた。


あたしと佳耶は、そんな流菜ちゃんの言葉に甘えることにした。


そんなに激しく降りはしなかったけど、ただでさえ湿気の多いこの季節。


制服をジメジメさせるには十分だった。


「・・・うわー・・・気持ち悪っ・・・」


肌にへばりつくような制服を身にまとい、思いっきり雨を吸ってしっとりした革の鞄を持って家に入った。


ブレザーとスカート、早く乾燥機にかけなきゃ・・・。


あ、ローファーも乾かさなきゃカビ生えるかも・・・。


そんなことを思いながら急いで部屋に駆け込む。


「あーもう、家までジトジトしてるし・・・ホント最悪・・・」


そのとき、ポンッと頭に浮かんだのは、


「・・・・・・えへっ」


1つだけ丸がついた数学のワークのコピー。


よーし、お母さんに自慢してやる!


制服とローファーを乾燥機にかけ、お母さんがいる台所までそそくさに足を動かした。