「やったああぁあぁ!!」
喜びのあまり、座っていた机をバンバン叩く。
そして人目も気にせず立ち上がって、シャーペンを握りしめたまま腕を伸ばしてバンザイをした。
「・・・うるさっ・・・。南美、恥ずかしいからやめてよ」
耳を抑えるフリをしながら、それでも嬉しそうな顔であたしを見上げるのは佳耶。
そしてその隣で、
「おめでとー!」
と言って満面の笑みで拍手をしているのは流菜ちゃん。
図書室を飛び跳ねてまわりたいのを我慢する。
だってだってだってだって!!
「佳耶あぁ!流菜ちゃぁん!」
バンッと机に手をついて正面にいる2人を交互に見る。
「で!き!たああぁあぁ!!」
そう!
初めて数学のワークの問題を1人で解くことができたんだよー!!
毎回その日の最後に行うワークの演習問題。
佳耶の丸付けをする手を、いつもドキドキしながら見続けている。
でも毎回握られた赤ペンが描くのは、丸ではなく角が直角に曲がったペケのマーク。
でも今回は!
いつもみたいにきれいに並ぶペケの中に1つだけ、丸い円が!!
その部分だけ際立つ、今回のワークのコピー。
藤井南美、ついにやりましたー!!