「えー、そうなの？尾崎君、何で知ってるのー？」


流菜ちゃんは相変わらずのゆったりとした口調で聞き返す。


「ん？俺、天才だから」


すると当の尾崎君は冗談なのか何なのか、自画自賛の言葉を口にして笑う。


「うん、ていうか尾崎君には聞いてないよ？」


そしてあたしが辛口交じりのコメントをする。


近頃のあたし達の会話は、こんな風なものがお決まりになりつつあった。


話すことが恥ずかしい。


なんて、まるで遠い日の出来事だったかのよう。


ここ数日で自然に話せるようになったし、それがまた凄く楽しかった。


好きな人ではないし、これが普通。


「南美ちゃんひど・・・。まぁもう慣れたけどー！ていうか俺が天才なのは常識じゃね？」


こうやって気軽に話せるようになって、距離が近くなったと感じる。


もちろん友達としてだけどね？


初めはつまらないと思ってたこの席も、今じゃ結構捨て難いものになっていた。


「尾崎君ってナルシストなの？」


流菜ちゃんが痛いところを突いた切り返し。


「ちげぇよ。事実、だろ？」


そう言って尾崎君は、またも得意げに笑う。


その笑顔に胸が高鳴っているのは、首を縦に振るほかにないのだけど。


それを隠すようにあたしはセリフを口にするんだ。


「じゃあ尾崎君、成績のほどはどーなんですか？」