「や、気のせいだよ。あたしは体温高いからね」

「…で、心が冷たいんですか？」

「なんだって!?いいかい少年。体温が高い、イコール！健康ってことなのだよわかるか！」

「頭沸いてる先輩に言われたくないですね」

「こんにゃろっ！」


ノリで右の拳を突きだしたら、神谷くんの右手にあっさり捕まってしまった。

自分のノリのよさに後悔した。

こんな後悔のしかたは初めてだ。

新しい後悔方法を教えてくれてアリガトウ、少年。


で。


「…何故離してくれない…？」


あたしの手を掴んだまま、神谷くんはあたしを見下ろしている。

いくらあたしの方が年上でも、男の子の身長には敵わないし、見下ろされてるのはしょうがないけども。

手を掴んだままっていうのがどうにも理解できないっていうか、ね？


身を引こうとしたあたしに、ようやく口を開いた神谷くんが言ったのは。