唖然としてるあたしの目の前で、神谷くんは微かに眉根を寄せる。


「……あっつ…」


訝しげに呟かれた言葉。

あたしはその声で、ようやく我に返る。


意識ぶっ飛ぶ時間、長すぎだぜ、自分。


そんで慌てて一歩後退するあたし。

神谷くんはあたしの額に当てていた右手を開閉させてから、


「先輩、熱ありません?」


「……へ?」


意味のわからないことを尋ねてきた。


熱があるかって?


いやいや、あるわけない。

あたしの平熱は高めなのである、うぬ。