くそぅ……と、横目に神谷くんを睨む。

ブラウンをした髪の毛が、朝日に照らされて光っている。

校則違反じゃないのかい、キミ。


よしよし、ここは先輩として、注意をすべきであるな、うぬ。


あたしはきちっとマスクをし直して、神谷くんへと顔を向ける。


「キミ、その髪の毛、校則違反なんじゃないのかい」

「地毛なので」


即答だった。


「…そ、そうかい…いいね…実に羨ましいよ、キミの体質…」


先輩としての役割が1秒足らずで終了してしまったあたしは、ショックで項垂れる。

なんていうか、あたしって“先輩”として見られたことがない。