すると神谷くんは、マスクを指に引っ掛けて、目を細めてから、言う。





「先輩の顔、見たかったんですよ」





……どういう、意味、かな?


聞こうと思ったけど、あえて聞かなかった。

たぶん、神谷くんのことだから、答えを教えてくれるわけがない。

だからあたしは、代わりに布団に隠れるようにして潜り込む。


「キミには見せてやらない」

「もう見ましたけど?」

「じゃ、これから絶対見せない」


「……それ、俺が寂しいんですけど」




え。




神谷くんの信じられないセリフに、反射的に顔を出す。