今年の花粉は大敵だ。
マスクが欠かせないったらない。
もういっそのこと覆面でも被ってやろうかってくらいだ。
春の霞んだ空を睨みつける。
嗚呼…この世から花粉なんてなくなればいいのに。
そう思いながら、
「へっくしょいっ!」
と、あたしが本日起床してから数えて14回目となるくしゃみをした時。
「……もっと可愛くくしゃみできないんですか?先輩」
背後から、呆れたような声が聞こえてきて、あたしはくしゃみをした体勢のまま固まった。
この声、知ってる。
や、知ってるっていうか、もう知らなきゃおかしいって部類に入るくらい聞き慣れた声だ。