「やっぱり、熱あったんですね」
「ひっ!」
突然声を掛けられて、あたしは肩を震わせた。
悲鳴にも似た声を上げ、恐る恐る振り返った先には、
この春からずっと顔を合わせている後輩、神谷くんの姿。
カーテンを掴む手に自分のこめかみを寄りかからせて、呆れたような顔でこっちを見下ろしている。
あたしはマスクを目の下まで引っ張り上げて、眉根を寄せてみせる。
「う、うるさいなキミは!そもそもね、神谷くん。
キミが“熱がある”なんて言うから、本当に熱が出たんだよ!」
「俺にそんな力ないですから」
「いや、あるね!」
キッと強気に言い切るあたし。
神谷くんは一瞬口を閉じてから、次いでボソッと。