「うーすっ」


珍しく学校へ向かう途中、一輝と出会った。

一輝はチャリ通、俺は歩きだから普段はなかなか一緒にならないのに。


「一輝後ろ乗せてって」


「は?何で…おわ!?」


一輝の返事を待たずに、後ろに飛び乗る。

いつもの俺だったら、走ってるんだろうけど…。




「出発ー!!」


俺の声にため息を返した一輝は、そのままチャリを漕ぎ始めた。


今日も暑いから、風が気持ちいい。

たまにはチャリもありだなー。


「……爽?体調悪いのか?」


少しして、一輝の低い声が聞こえた。


「いや?何で?」


「爽が静かだと気持ち悪い」


…………おいっ。

俺だって風を感じて、感傷に浸ることもあるぞ!?

本当に失礼な奴だ。