「あはは!!本当にいい反応するね。今までスカウトした子とはまるで違う」


ついには腹を抱えるようにして笑い始めた。


「普通はどんな反応なんですか?」


動けない俺に代わり、監督が聞いた。


「人それぞれだけど…とりあえず間違いなく、皆緊張の顔を見せますね」


「あぁー、爽は緊張からは掛け離れてますからね」


二人が微笑みながら会話してる。

当事者は俺なのに、まるでテレビでも見てるような気持ちだった。




「大物だね。それとも…プロには興味ないかな?」


「いえ、もちろんプロにはなりたいと思いますけど…」


急にこんな展開になるなんて、想像すらしてなかった。

スカウトの声が俺にかかるなんて、夢にしても贅沢過ぎる。


「それはよかった。でも今日は遅いから、また日を改めて話にこさせてもらうよ」


ニコッと優しく微笑み、監督にも挨拶をして、本当にその日は帰って行った。