「爽さーん!!」


練習後に片付けをしてると、半泣きの猛が近寄ってくる。


「…き、キモ」


思わずそんな素直な気持ちが、言葉になって出てきた。

気持ち悪過ぎて怖い。


「聞いてくださいよ!!誠二郎、彼女ができたって!!」


「は?誠二郎?前から彼女いんじゃん。猛、知らなかったのか?」


そう言うと、猛の顔からどんどん血の気が引いていくのが分かる。




「猛に言ってなかったっけ?」


誠二郎も不思議そうに言う。


「嘘だ!!ありえねぇ!!あ、励さんっ」


偶然横を通りかかった励ちゃんに、同じようにすがる猛。


「え?知らなかったの?」


励ちゃんも当然、一緒の反応。

たぶんチーム全員知ってるって。

何で猛は知らねぇの?