「もういつ崩壊してもおかしくない状態まで来てしまっています。」 「……。」 俺は、言葉が浮かんでこなかった。 「だからこうして、最期の一瞬まで生きようと人々は願いを込めて祈りに来るのです。」 神父は十字架に向かって祈るポーズをする。俺は視線を十字架に移した。 世界が…崩壊する。みんな、死ぬのか……。 俺はさっきの映像をもう一度頭に描く。嫌というほど染み付いた、赤色の世界。