「そういう考えになってからは、俺にとって紫音は恋愛対象外。ま、それはあいつ本人にも言ったことがあるけど。…姉のようで妹のようで、ときには友達、みたいな?そのくらいの距離がちょうどいいって、わかってたからさ。」


こんなふうに、躊躇い無く世奈に告げる隼人の気持ちが、ただ嬉しかった。

お互い変に意地っ張りのせいか、面と向かってこんなことは絶対に言えないから。

…――でも、一つだけ。
どうしても頭に引っ掛かってしまった、一つの発言。

あたしが“恋愛対象外”?
そのこと自体は別にいい。だって、あたしにとって隼人も恋愛対象外だし。

だけどいつ?いつ、隼人にそんなことを言われた?思い出し得る記憶の中で、そんなふうに言われたことはない。