「え?じゃなくて。さっき、変な誤解するなって言っただろ。これは昔の話だっての。」
恐らく、世奈の中に渦巻いたであろう不安を打ち消すためになのか、いつもと変わらない隼人の笑い声が室内から漏れる。
「それに、その“好き”が恋愛関係のじゃなくてさ、家族愛っての?そういう類いのもんだって気づくのに、そんなに時間はかかんなかった。」
家族愛、か……
確かに小さい頃から一緒に居て、一緒に笑って、泣いて。誰よりも付き合いの長い隼人は、あたしの一番の理解者だ。
いつも隣に居るのが当たり前で、隼人が居なかったら今のあたしは存在し得ないんじゃないかと、そう思えるくらいに。
ある意味、家族という括りを超越しているような、そんな存在かもしれない。