だって、あまりにも突然半強制的に連行されたもんだから、あたしのカバンは未だ教室に置かれたまま。

めんどくさいけれど、さすがにカバンごと置いて帰るわけにはいかない。

とぼとぼと一人歩く廊下、誰も居ないそこはあまりにも閑散としていて、音がよく響く。

そして教室へと続く廊下を曲がった刹那、瞬間的にだったけれど、確かに誰かが教室に入っていったのが見えた。直後聞こえたドアの閉まる音に、それを確信する。

でも、今頃一体誰が…?

自習なら自習室に行くはずだし、部活の生徒なら既に部活中のはず。
誰か忘れ物でもしたのかな、なんて不審に思ったあたしは、できる限り足音を忍ばせて、急ぎ足で教室へと近づく。

そしてドアのガラス越しに覗いた室内、予想外にも見知った二人の姿を見つけ、反射的にドアの影に身を隠した。