一人唸るあたしを見て呆れたのか、世奈は盛大なため息をついた。
「何回も言うけど、これは噂にすぎないからね?つき合ってたっていうこと自体が間違ってるのかもしれないし、たとえそれが正しかったとしても、副会長が未だに彼を想ってるかどうかなんてわからない。」
「そりゃ、そうだけど…」
「自信、持ちなよ。うじうじしてるのは紫音に似合わない。話持ち出しといてアレだけど、あれだけ毎日アピっといて、急に弱気にならないでよ。」
自信、なんて持てる訳ない。
そんなものがあるのなら、持てるのなら、もっと違うカタチであたしは氷室さんと向き合ってた。
「それとも何?ただの噂に負けるような想いだった?」
あたしの心情を察してるかのような問いに、ただ頭を横に振る。
そんな、簡単な想いじゃないよ。
そう、言うかのように。
それを見て世奈は、優しくあたしに向けて笑ってくれた。