「ごくろーさまでしたー。」

「お疲れ様。じゃあ、解散していいよ。」


掃除を終え、玄関掃除担当の先生を中心に掃除当番のメンバーが集まった玄関前。先生のそんな言葉を合図に、各々が解散する。


「じゃあねー、加藤さん。」

「紫音ちゃん、ばいばい!」

「ん。また明日ー。」


次々と下校していく友達に笑顔で手を振り、あたしは階段を上がって世奈が待っているであろう教室へと足を向けた。

―――だけど。


「加藤さん、待って。」


もう少しで教室につく、そんなタイミングで、通り過ぎた他クラスから聞こえてきた声。
紛れもなくあたしを呼んでいるその声に、若干急ぎ足で廊下を進んでいた足を止めた。